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ぶらり  丹沢
桧 洞 丸
 ひのきぼらまる





平野 正 (遠州屋薬局)


EM jov05546@inet.jovy.co.jp

トウゴクミツバツツジ 撮影/平野正


小田急沿線沿いは三年ほど行っていない。
今回は恒例の鳴虫山で、ちょっと季節を過ぎた感があったがアカヤシオを堪能した。
さて、次は何処へと思ったが棚卸の後始末も着いてなかったので、山に行く気にはならず、2週間ばかりは早起きし、伝票整理の後は江戸川散歩ですませていた。

どうやら決算も済んで、気が楽になったので、以前、紫色の「トウゴクミツバツツジ」が綺麗で、メインは「シロヤシオ」が花のトンネルになっている写真を見ていて、かねてから行きたいと思っていた桧洞丸を思い出したのだが、山のガイドブックには一泊二日で、十時間くらいの歩行、又は日帰りコースでも7〜8時間を要する事になっている。これではとても無理だと、諦めていた。

ある日、偶然見た新聞の観光案内に、西丹沢自然教室から6時間半くらいの歩行で行けるように書いてあったのを見つけた。今年は三月中旬から暖かく、花も一週間くらいは早いので、それなら見頃は今週中、また、最近の運動不足の解消のためにも、ちょっと無理かも知れないが、思い切って行く事にした。

登山の略図の等高線で、切り立った三角形になっているのは急登の連続を表している。
足の便は千代田線で代々木上原まで行き、小田急で新松田に行く。
以前は良く利用したルートだったが、この3年は千代田線〜小田急を利用していない。
桧洞丸行きは小田急を利用するしかない。今回は久しぶりの小田急線で懐かしい。



ブナの若葉 撮影/平野正

新松田の駅前は変わっていなかった。
連絡が良かったので新松田から8時前のバスに乗れた。
車中からは「ブナの若葉」、「ミズキ」、「ニセアカシア」等、美しい緑と丹沢湖面が見られたが、丹沢湖、玄倉、玄倉ダムと最近水難にあった停留所の地名がバスのなかで放送され、この美しい静かなところからは想像もできない惨事に驚愕させられ、その辺りの地図を買い、知っている所との関連を調べることにする。



このところ5時間以上のところは歩いてないので、不安もあった。
去年の夏は冷房の中にいて、急に明神ケ岳へ行って足を攣ってしまったこともあったし、惨めな撤退を考えながらも、今年鳴虫山を時間に急き立てられながら歩いたにもかかわらず、疲労が残らなかったのも自信となり、複雑な気持ちで終点の西丹沢自然教室まで行った。


ゴーラ沢出会い 撮影/平野正






ゴーラ沢 撮影/平野正


道路から標識に従い登山道に入る。
青空の覗くブナ林を淡々と進む。小さな補強の木橋を3ケ所渡り、ゴーラ沢出会いに着く。
大小の石のゴロゴロした広い川原に清流が二筋ながれている。
一つの川は飛び石で渡る。もう一つは木で出来た梯子の様な3m位の簡易橋が掛かっていて、それくらいの長さで清流を渡れてしまう。

ここからが急登になり、“くさり(鎖)”を伝ってのぼる。
鎖の元のコンクリートの心棒には、ここで亡くなった「○○君を悼む」、と書かれた鉄板が嵌められていた。山路はひと一人通れる位の幅で、去年も追い越そうとして谷底に転落し亡くなった人があったと新聞で読んだ。痛ましい事だ・・・



普段ハイキングしている1000m位の山に比べると、急で谷は深い感じがある。黙々と歩くだけだ。人気の山らしく人が多い。
いつも行っている所は登っている時は余り人に合わず、頂上につくと人が結構いるのに驚くが、ここは絶え間なく人がいる。


苦労して登っているうちに、ついに展望台に出た。富士山の方向に開けていて、白く大きな富士が見え感激した。



桧洞丸からの富士山  丹沢ハイキング紀行より

くたびれたので、11時でちょっと早いが昼食にする。
天気も良く、暑く汗も多いせいか口の中がパサパサで握り飯が飲み込みにくい。
景色をユックリ見るのはこの時ぐらいで、あとは必死に歩を運んだ

ポツリ、ポツリと「トウゴクミツバツツジ」の花が見え始めたが、ちょっと遠くで写真が上手く取れないが、遥か下方からさわやな水音とゴーラ沢が望める。群生という感じではないが此処にも其処にも紫の美しい花が咲いている。

去年はあまり山登りをしなかったので1600mの高さはまだかまだかの感がする
たまに木々の間から青空が見える。あの辺りで稜線に出るのを楽しみに、続く急登をひたすら歩くだけだが、ブナの若葉とトウゴクミツバツツジが力をあたえてくれる。



登る度に、目的の「シロヤシオ」が一本更に一本と現れるが、未だ見頃には大変に早すぎた。
山のガイドブックにある、期待の「シロヤシオのトンネル」になっている最高の見所も未だ蕾も小さい。4月は山桜、アカヤシオの満開の時期に遅れを取ったので、今回は一週早めたのだが、完全にあてが外れた。

純白の花が若葉と共にトンネルになっているのは、さぞきれいな事だろうと想像しながら、相変わらず急な路を、昼飯までは軽口をたたいていた女房とも、言葉もなく、黙々と歩いた。
鎖場のあとは木のちゃんとした7〜8段の階段になっていて、向きを変えながら高度をあげる。
樹木や草花の保護の為と、登りやすさを考えてくれたのかもしれないが、この方が返って腿にこたえる。



木道 丹沢ハイキング紀行より

バイケイソウ 撮影/平野正

やがて木道になり、「バイケイソウ」の大集落に出る。そうとうの面積のバイケイソウを保護する為の木道である。現在、緑の大きな葉が青々している様も壮観だが、一ヶ月後の白い花をつけ、頂上を取り巻く様を想像すると疲れも飛んでいく気になるが、肉体は重い。
旬なのかも知れないが「マメサクラ」の木が二本あり、満開の花をつけている。桜も色々とあるものだ。

シロヤシオには多少早かったが、シーズン間近なので人出はずいぶん多い。それに途中撤退の悲壮な覚悟で出かけた小生(50歳後半)より上と思える人の多いのに驚く。

下山時も後ろから、カチャカチャ鳴るスチールの杖の音と、ドスンドスンとちょっと高いところから降りる登山靴の足音に急がされ、のんびりと、マイペースを楽しむ、というわけにはいかない。
団体さんをやりすごし静かになってから歩き出し、夕暮れ前の多少赤みがかってきた光のなかを、重い足を引き摺って歩いた。



登りよりも、目的を達したあとの下りは嫌気がさすほど単調で長い。
でも、ゴーラ沢に出れば、もうすぐだ。ほっとする。





マメサクラ

シロヤシオ

強い日差しで汗をたっぷりかいて歩いて来たので、沢の冷たい水に手を浸すと気持ちが良い。
そこからは2kmほどのなだらかな路でバス停である。
やっと余裕がでたからか、谷の斜面に鹿を見つけて、さらに気持ちが和んだ。

登山の難易度から言うと「星一つ」の簡単ランクなのだが、情けないことに帰って4日も経ったのに、まだスムーズに階段を下りられない。老人が多くいたが、あの人達は筋肉痛は無いのだろうか?
でも、あの急な路を予定通り6時間半で歩けたのだから、今年は行動範囲も広がるだろう。小田急沿線にも未知の山が沢山ある。良いきっかけが出来た。

憧れていたところでもあるので、シロヤシオの満開の時に是非行って見たい。それには日ごろから、店のなかで出来るトレーニングを考え出さなくてはならない。

2001年5月24日

丹沢の地図」 丹沢をクリックすると、写真地図になります (Web 丹沢  丹沢知ったかぶりより)

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